データ分析業務での生成AI活用:対話型分析アシスタントAIの導入による、ECサイト売り上げ分析の効率化
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はじめに
近年、データドリブンな意思決定の重要性が高まっていることから、分析基盤の整備やデータ分析人材の採用・育成を通じ、データの利活用を推し進めている企業が増えています。一方で、データ分析の重要性は理解しているものの、実務での活用に踏み切れていない企業も少なくありません。
「売上データは取れているのに、分析の方法が分からない…」
「BIツールを導入したものの、使いこなせていない…」
こういった声は多くの企業、特にマーケティング部門や営業部門からよく聞かれるのではないでしょうか。実際、データが社内に蓄積していても、データ分析に必要となる専門知識やスキルが不足しているため十分に活用できていないケースが多いです。
本記事では、こういった現状に対する解決策として、弊社で開発した生成AIツールである「対話型分析アシスタントAI」を紹介します。弊社の生成AIツールに関するデモを通じて、PythonやSQL、BIツール等の使い方やデータ分析に関する専門知識に疎い場合でも、生成AIを活用することでどのように効率的にデータ分析を実現するのかを具体的に解説します。
データ分析を進める際の課題
企業がデータ活用を進める際、どのような課題に直面しているのでしょうか。大きく分けて、組織、分析基盤、人材の3つの観点から整理していきます。

データドリブンな組織文化が根付いていない
データ活用が上手く進まない時によくある課題として、そもそも社内にデータ活用を進める文化がなかったり、データを活用できる業務があるのか分からないといったことがあります。データドリブンな意思決定を全社的に進めていくには、社内周知の徹底や経営層に理解してもらうといった根本的な組織文化の変革だったり、データ活用が必要となる業務プロセスの洗い出し等が必要になります。
分析基盤が整備されていない
活用できるデータが揃っていなかったり、データを扱うシステムが整備されていないためにデータ活用が進まないケースもよく見られます。データ活用には、データ収集の環境や集めたデータに関するセキュリティ・品質管理といった分析基盤の整備が必須です。また、分析ツールについても、部門別での導入ではなく、組織横断的な活用を見据えた導入が求められます。
人材の採用・育成が困難
分析基盤が整備できたとしても、PythonやSQLといったツールの使い方やデータ分析の専門知識に詳しい人材がいなければ、データ活用を進めることはできません。また、分析スキルだけでなく、当然ビジネスに関する知識も不可欠です。こういったデータサイエンティストのような高度人材の市場価値は依然として高いため採用が難しく、育成するにも多大な時間とコストがかかってしまいます。
今回は、これらの中でも特に「人材の採用・育成が困難」という課題に着目します。データ分析人材の育成には多大な時間とコストが必要であり、また即戦力となる人材の採用も難しいのが現状です。しかし、生成AIを活用することで、このような人材面での課題を解決し、専門知識を持たない従業員でもデータ分析を実施できる新しいアプローチが実現可能となります。
生成AIを用いたデータ分析ソリューション
先述した「人材の採用・育成が困難」という課題に対する解決策の一例として、弊社で開発した生成AIツールの「対話型分析アシスタントAI」を紹介します。この生成AIツールは専門知識や分析スキル等がない場合でも、Slack上でのテキストによる対話を通じて、データ分析を行うことが可能となっています。具体的には、以下のような特徴があります。

テキストからSQLクエリの作成
「先月の売上を教えて」や「週末と平日の購入平均額を比較して」といった日常会話のようなテキストでの分析指示が可能です。従来であればSQLの知識が必要だったデータ抽出も、生成AIがテキスト内容を理解し、適切なクエリに変換することで、誰でも簡単にデータベースの操作を行うことができます。
曖昧な指示への対応
例えば、「売上が良かった商品を知りたい」といった漠然とした質問に対して、生成AIが「どの期間の売上を確認しますか?」と返すことで、ユーザーが本当に知りたい情報を明確にし、より価値のある分析結果を導き出します。曖昧な指示をそのまま実行することを防げるため、ユーザーの真の分析ニーズを引き出すことが可能です。
視覚的な分析結果の表示
分析結果の数値をそのまま表示するのではなく、直感的に理解しやすいグラフ等で表示することが可能です。また、データの特性に応じて、棒グラフや折れ線グラフ、円グラフなど様々なグラフ形式から最適な可視化方法を生成AIが自動で選択してくれます。これにより、複雑なデータであっても、一目で傾向や特徴を把握することができます。
上記の説明から、弊社の生成AIツールを活用することで、専門知識やスキルの有無に関わらず、複雑なデータ分析が可能となり、データドリブンな意思決定が実現できることがお分かりいただけたかと思います。
また、弊社の生成AIツールはSlack上で使うことができるため、分析結果の共有やチーム内での議論も円滑に行うことができます。これにより、単に分析結果を意思決定に使うだけでなく、組織全体でデータ活用に関する意識の向上を図ることにも繋がります。
デモ:対話形式(slack上)でのデータ分析
今回のデモでは、弊社で開発した「対話型分析アシスタントAI」を用いて、マーケティング業務におけるECサイトの売上分析をテキストの指示だけで実施している様子を紹介します。
具体的には、あるECサイトにおいて2017年末に売上高の低下が確認されたことを背景として、その原因分析から売上改善に役立つ示唆出しまでを行います。
その際、単なる分析結果だけでなく、SQLのクエリやグラフを出力してくれることが大きな特徴です。それでは早速見ていきましょう。
Step1:売上低下の要因分析
売上低下の要因を探るため、「低価格帯の商品購入数が落ちている」という仮説を立て、まずは価格帯別の分析からアプローチします。
最初に「商品の価格帯ごとの購入数の推移を、月毎に示してください」という指示を渡した後、「商品の価格帯の定義を教えてください」という質問がアシスタントAIから返ってきました。このことから曖昧な指示に対して深掘りできていることが確認できます。
分析対象を明確にした後、まずは分析に使用したクエリと分析結果が出力されます。
しかし、これだけだとパッと見て結果がわからないため、見やすくするためにグラフが出力されます。グラフで出すことにより、「どの月の売上が高いのか」「どの商品の売上が高いのか」といった分析結果の示唆出しを一目でできるようにしています。

出力された上記のグラフから、2017年12月の低価格帯(100ドル未満)の商品の購入数が、中・高価格帯(100ドル以上)の商品に比べて特に落ち込んでいることが分かりました。
このように、テキストによる指示だけで価格帯ごとの購入数の推移を簡単に分析できることに加え、途中に各商品の定義に関する対話を挟むことで、ユーザーからの曖昧な指示にも対応できていることがお分かりいただけたかと思います。この結果をもとにさらに深掘りを進めていきましょう。
Step2:時間帯別の詳細分析
低価格帯商品の売上低下要因をさらに深掘りするため、「マーケティング施策を適切な時間帯で打てていない」という仮説を立て、追加で時間帯別の分析を行いました。
「2017年12月について、各価格帯の時間帯別売上を集計して表示してください」という指示を出すと、先ほどと同様に分析に使用したクエリと分析結果が出力されます。
その後、結果をわかりやすくするために時間帯別売上に関するグラフが出力されます。

グラフを見ると、低価格帯(100ドル未満)商品の売上が、特に0時台および14時台において他の価格帯と比較して大きく下回っていることが確認できます。
このことから、低価格帯商品については0時台および14時台のマーケティング施策を強化することで、売上改善が期待できる示唆を得ることができました。
デモの総括
このデモを通じて、弊社の「対話型分析アシスタントAI」を活用することで、データ分析に関する専門知識がなくても必要な分析を簡単かつ即座に実行できることがお分かりいただけたかと思います。また、何度かやり取りを繰り返すことで、単純な売上分析に留まらない深い洞察を導き出すことができました。
おわりに
本記事では、生成AIを活用したデータ分析の効率化の一例として、弊社で開発した「対話型分析アシスタントAI」や、それを使いながらECサイトの売上分析を行ったデモを紹介しました。
データ分析業務に生成AIを組み込むことで、PythonやSQL、BIツール等の使い方やデータ分析に関する専門知識に詳しくなくても、自ら複雑なデータ分析を実施することが可能になります。
そのおかげで、データ分析に普段携わっていない人材がデータに基づいた意思決定や施策立案をすることができ、効率的なマーケティング活動や営業活動の実現が期待できるでしょう。
弊社のAI Transformation(AX)事業部では、今回紹介した対話型分析アシスタントAIによるECサイトの売上分析の事例以外にも、生成AIを活用した業務効率化支援を行っています。
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