生成AIでモダナイゼーションを自動化 レガシーシステムの設計書/仕様書の生成 <COBOL口座管理プログラムへの適用事例>

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はじめに

「COBOL製の基幹システムの保守が年々難しくなっている」

「モダナイゼーションの必要性は分かっているが、課題が山積み」——。

基幹システムを新しい技術環境へ移行する「モダナイゼーション」には、業務継続の安全性やメンテナンス性の向上など多くのメリットがあります。しかし一方で、ドキュメント不足や膨大な時間コスト、移行リスクといった課題も存在します。

そこで弊社では、これらの課題を解決するために「AIを活用してモダナイゼーションを自動化する技術」を開発しました。これにより、レガシーシステムの移行・刷新にかかる時間と手間を大幅に削減できます。

本記事では、レガシーシステムの刷新における主な課題を解説しつつ、その解決策となる「生成AI」を使ったモダナイゼーションの自動化を紹介します。さらに、AIによるコード解析とドキュメント作成のデモ事例として、COBOLで書かれた口座管理プログラムのコードを解析し、設計書・仕様書を自動で生成する流れをお見せします。

【本記事の概要を解説したデモ動画】

従来の手法では難しかったレガシーシステムの刷新を、効率的かつ低リスクで実現する方法を詳しく紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

※COBOL(言語)とは
COBOL(コボル)は1959年に開発されたビジネス向けプログラミング言語で、現在も銀行や保険会社の基幹システムで広く使われています。しかし近年は、COBOL技術者の減少や最新技術との連携の難しさが大きな課題となっています。

モダナイゼーションを実行する上での課題

レガシーシステムのモダナイゼーションを推進する際、主に以下の課題があります。

既存コードの解析にかかる時間が膨大

企業の基幹システムとして長年稼働してきたCOBOLアプリケーションは、当時の設計書や仕様書が散逸・未整備のまま運用されているケースが少なくありません。コードそのものが唯一の設計情報になっているため、解読に多くの時間がかかります。こうしたコードの解読作業は、モダナイゼーションの最初のハードルとなります。

レガシー言語技術者の不足

レガシーシステム特有の技術に精通した人材は年々減少しています。また、新しい世代のエンジニアはレガシー言語を学ぶ機会がほとんどありません。

このような状況では、レガシー言語の解析作業を担える人員が限られるため、モダナイゼーションプロジェクトの推進が困難になり、人手不足が深刻化しがちです。

大規模な投資が不可欠

モダナイゼーションプロジェクトは通常、大規模になりやすく、多大な時間やコストを要します。この結果、プロジェクト中はリソースが不足し、システムの保守運用や新たなビジネス要件への対応が遅れる可能性があります。

解決策:生成AIを活用したモダナイゼーションの自動化

ここでは、生成AIを活用してモダナイゼーションを効率化する仕組みを紹介します。大きく分けて以下の3ステップでコード解析と新コード生成を行います。

  1. レガシーコードをAIに入力
  2. AIがコードを解析して設計書・仕様書を生成
  3. AIが生成した設計書・仕様書から新しいコードを出力

途中で作成される設計書・仕様書は人間が読める形で出力されるため、プログラム全体の構造や機能を俯瞰できます。また、プログラム移行後の保守・管理・改善も容易に行えるようになるのも大きな特長です。

モダナイゼーションを自動化することで得られるメリット

AIを活用したモダナイゼーションの自動化によって、以下の3つのメリットが期待できます。

コード解析に要する時間を大幅に削減

AIがブラックボックス化したレガシーコードを短時間で分析し、散逸・未整備になっている設計書や仕様書を作成します。人手による煩雑な解析作業が圧縮されるため、プロジェクト全体の時間を大幅に削減できます。

レガシー言語の解析作業を削減し、人手不足を緩和

AIがコード解析の大部分を担うことで、特定のレガシー言語に詳しい技術者が少なくても移行を進められます。組織全体で新システムへ移行しやすくなり、結果的に人材不足を緩和できます。

システム知識の属人化を防止し、低コストな移行を実現

AIが作成した設計書・仕様書によって、従来は個人の暗黙知に頼っていた業務ロジックを文書化できます属人化を回避しやすいだけでなく、プロジェクトの規模もコンパクトに抑えられ、移行コストを削減できます。

デモ:COBOLの口座管理プログラムから設計書・仕様書を自動生成

ここからは、実際のデモ事例として「COBOLで書かれたレガシーシステムから設計書・仕様書を自動生成する流れ」を紹介します。こちらの言語は、銀行や保険会社などの基幹システムに古くから広く利用されていますが、技術者不足や最新技術との連携の難しさが大きな課題となっています。

デモ全体の流れ

まずはこちらの動画をご覧ください。

この動画では、AIがCOBOLコードを解析し、設計書や仕様書を自動生成する様子を確認できます。以下の3ステップで進めています。

1. インプット:レガシーコードをAIに入力

まず、解析対象となるCOBOLプログラムをAIに取り込みます。今回の例では、口座管理のために以下3つのファイルを用意しています。

まず、解析対象となるCOBOLプログラムをAIに取り込みます。今回の例では、口座管理のために以下3つのファイルを用意しています。

2. 中間処理:AIによるコード解析

次に、AIがプログラムを実行して挙動を確認しながらコードを解析し、以下の情報を学習します。

  • 各ファイルがどのような手続きや機能を持ち、どの順序で呼び出されるか
  • 入金・出金・残高照会などの処理フロー
  • ガードレール(エラー処理や境界値チェック)がどこに組み込まれているか

人手では大幅な時間を要する箇所も、AIによる高速な解析と生成技術を組み合わせることで短時間で把握できます。

3. アウトプット:設計書・仕様書を自動生成

最後に、AIが解析結果をまとめてドキュメント類を自動作成します。主な出力物は以下のとおりです。

  1. システム設計書
    プログラム概要やシステム構成、機能仕様、データ設計などを整理し、全体像を明確化
  2. シーケンス図(フロー図)
    プログラム同士の呼び出し順序やデータの流れを可視化し、操作フローを直感的に把握
  3. テスト仕様書
    正常系・異常系・境界値など、運用に必要なテストケースを網羅的に生成

これらのドキュメントを活用すれば、エンジニアは保守・改善作業や他システムとの連携を円滑に進められます。

おわりに

本記事では、レガシーシステムのモダナイゼーションにおける課題と、生成AIを活用した自動化のメリットを解説しました。AIによるコード解析と新しいコードの生成を組み合わせることで、コード解析に要する時間やレガシー言語技術者不足の問題を大きく緩和し、スムーズなシステム刷新が期待できます。

こうした技術を活用すれば、モダナイゼーションにかかる時間とコストを削減しながら、高品質なシステム移行を実現可能です。さらに、生成された設計書・仕様書でシステム全体が可視化され、将来の保守や改善作業も容易になります。

弊社のAI Transformation(AX)事業部では、生成AIによる業務効率化を多角的に支援しています。モダナイゼーションの自動化をはじめ、お客様のニーズに合わせた最適なソリューションを提案し、AI活用による業務変革(AX)をサポートいたします。詳しくは以下のサイトよりお問い合わせください。

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